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英語の共通テストの必勝法とは?

今年も大学共通テストに備えたマーク模試の時期が始まりましたが、対策の必要性を実感されます高3生の方はもちろん、来年度以降に受験を控える高2生や高1生の皆さんにも記事を読んでいただければ、とのことで書かせていただきます。

 

さて、センター試験から共通テストに変わって年月は浅いんですが、英語に関しては毎年の出題傾向をみつつ、学生さん達に勧める勉強法も細かくアップデートする形で対応しております。読解文章量が多いことを除いて留意すべきは次の3点、

 

①.独立した文法や語法・語彙のみに関する出題がない(共通テスト初年度より)

 

②.第6問(ラストの大問二題)は論説長文がっつり2題構成でくる(終盤二題に20分以上必要)

 

③.レビューや意見の比較等に関して記事の要約を求める設問が増えた(全体、または主に第2、4問)

 

特に今年の英語はセンター試験世代の方が見たらびっくりするくらいの文章量で「文法書や単語を暗記するだけではダメ」とか「極めて早く正確な英文処理能力が必要」といった月並みなフレーズが出てくるんですが、「残り時間」と「正確性」という二つのキーワードを意識して具体的な勉強法を検討していきましょう。

 

単語や熟語等の語彙が長文読解に必要なのは言うまでもないんですが、私の印象としては共通テストになって文法の重要性はむしろ上がっている印象があります。共通テストは膨大な英文を読まなくてはならないので忘れがちですが、日本語同様に文章全てを平等に時間をかけて読む必要はないわけです。新聞記事等を斜め読みする際にどの箇所を時間かけて読むかを決めるように、英文の中の重要な箇所(主に意見のまとめ箇所や筆者の主張が出るところ)を優先的に訳すと短時間で最大効果が得られるんですが、その際に文法の知識がないと正確に意味を捉え損ねるため間違った選択肢に誘導されます。

 

ここまでをまとめると以下の三つの要素全てが重要な試験であるといえます

 

A:長い文章内での正確に訳出すべき箇所の見極め(制限時間の関係上全体の2割弱程度ですかね)

 

B:高1~高2で学んだ英文法ルールに則って正確に英文解釈ができる

 

C:単語、熟語等の語彙力の底上げ

 

毎年高2生に初めてこの共通テスト形式の問題を一回分解いてもらって感想を教えてもらう際は「多すぎて第4問の途中で終わりました・・・」とか「選択肢が絞りきれず時間を消化しまいます・・・」などと凹んでしまうんですけど、「時間」に関わる条件Aを基軸に「正解率」に関わる条件B、Cをいかに普段から強化しておくかがカギとなっていて、制限時間内に終えてかつ高い正解率を確保するには昔以上に下積みの努力を要する試験だなと実感します。

 

ただ、試験そのものの難易度が上がってしまったのか?というとそうではありません。現代文のように細部に検討を要する選択肢も少なく、解答は訳出箇所を正確に解釈できればすぐ絞りきれる場合がほとんどです。平均点がこんなにも下がってしまった今、「残り時間」に関する問題をクリアして、英語は他の受験生と大きく差をつけるチャンスと捉えましょう。

毎回共通テストの模試などで途中時間切れになったり、手を出せなかった大問や設問があるなどして時間運びが安定しない方は80分の試験時間の中で中継地点(区切り)をもうけると効果的かもしれません。本試験やそれまでの各模試の難易度に差はあれども「第3問のB終わりで50分以上残す!」などと正解率を確保したうえで自分の速読力と相談してチェックポイント式に解いていくのもいいですね。

 

訳出箇所の特定と英文解釈に関しては、学校での普段使いの参考書に加えてカギはできるだけ早期に英字新聞を始めることだと思っているんですが、具体的な勉強トレーニングに関して後日記事を書きますのでそちらを参考にお願いします。

 

読解作業は中学レベルの文、やや平易な英文はわざわざ日本語に直さなくても見ただけで意味がとれるのが理想的ですが、一方で設問の正解に関わる重要箇所や、やや難しめの英文で解釈ミスしそうで危ないなと思ったら主語や動詞を解釈して(SVOCに分けるなど)日本語に訳して正確に意味を捉えていく。これは英文解釈の最大の注意点なんですけど、英語は日本語と違って形容詞や副詞(分詞や関係詞類、前置詞句など)が後ろからかかってくることが多いので、焦って前から訳そうとしてもうまくいかないことが多いんですよね。重要な箇所の英文の意味をとらなかったり、あいまいなまま読み進めると速読どころか理解率低下の悪循環に陥りますので、早く読むことを基本としつつも、時間をかけるべき場所では慎重に意味をとっていくスタンスを心がけていきます。

 

加えて共通テストになって文章要約の重要性が年々高まっている印象があります。第2問や第4問ではあるトピックに対する複数の意見を比較したり、第5問では起こった出来事の時系列を追ったり、第6問では部分部分の段落の要約から文章のタイトルを選択するために文章全体の要約が必要であったりと多岐にわたりますが、読んだ内容を忘れないうちに小まめにまとめつつ、さらに全体を読み終えた後整理するといった作業が功を奏します。実際によくあることなんですけど、英語の共通テストは要約ができてさえいれば大問をまるごと全問正解で通過できるというのは国語に比べて多いんですよね。要約は現代文ほど難しくありませんので、苦手な方は最初は書いて整理しつつトレーニングしていきましょう。

 

以上まとめますと速読には十分な基礎学力が必要になりますので、英語の共通テストに必勝法というのは「急がば回れ」的なものにならざるをえません。ただ、共通テスト対策で培った勉強はセンター試験の時と同様に大学の個別試験や国公立大二次試験等に生かせますので、できる限り早い時期から(本音を言えば高1や高2の夏から!模試で悔しい思いをした3年生はまさにその当日から!)対策を始めるのが吉といったところです。

 

理屈っぽく長くなってしまいましたが、ここまでお付き合い下さり本当にありがとうございました!

次の記事では英文解釈や要約のトレーニング法などについて具体的に、また適した教材等についてもまとめます。